11/11Sat. 「THE BASS DAY LIVE 2023」DAY2 LIVE REPORT公開!!

1日目に引き続き、多くのお客さんが集まったTHE BASS DAY LIVE 2日目。「ベースの日」当日ということもあり、会場は開演前から熱気に包まれていた。

MCのクリス・ぺプラーが登場し、「ベースが好きな人!」と呼びかけるとほぼ全員が手をあげる、そんなベースを愛する人しかいない特別な空間で「ベースの日」当日のライブは大いに盛り上がった。

 

最初のホストベーシストは、世界的に活躍するBAND-MAIDのベースを担当する、MISA。

ゲストには、吉田一郎不可触世界(DOVVNTIME)/Bass、前田遊野/Drums を迎えた。

吉田一郎からの「MISA様のご降臨です」という言葉を合図に、オペラ曲とともに登場したMISAは、BAND-MAID大人気曲「DICE」にのせて激しいベースを弾き始める。1曲目からベースがビリビリと響く爆音ハードロックに、フェスさながらの大熱狂。吉田のベースも負けじと激しくなる…

ところが、その後のトークでMISAから突然の厳しいダメ出しが。今夜のMISAはベースの先生、吉田は教えを賜る生徒という設定のようだ。芝居仕立ての先生・MISAと生徒・吉田の掛け合いに会場は大爆笑。

MISA先生からの「ベースは自分だけじゃなくてチーム全員に光を当てるものだからね」との教えに、会場内から称賛の拍手が沸き起こった。また、吉田がDMで集めたファンからの質問に答えていくコーナーもあり、ベースにまつわるトークを軽快に繰り広げた。

和やかな空気とは一転、演奏パートでは、BAND-MAIDの曲たちに合わせ、前田のダイナミックで繊細なドラムを背に、吉田とのスリリングなベース対決を見せてくれたMISA。

ベースの勢いを感じさせるトップバッターであった。

 

次に登場したのは、高木祥太(BREIMEN)。

 

ゲストにTENDRE、MELRAW、田中航/Drums を迎えた。

MISAとは打って変わって、高木祥太は思わず体が揺れてしまうようなグルーヴィーなセッションを披露し、田中航のズッシリと支えるドラムに、TENDREの心地よいハモンドオルガンとMELRAWのサックスの高音域が響き、高木祥太の唯一無二のベースソロに酔いしれた。

 

高木が小さいながらも太く魅力的な音を奏でるウクレレベースを手にすると、その名前をタイトルにした「KALA U BASS」を演奏。一旦クールダウンしたところから楽器が重なっていき、徐々に盛り上がっていく音楽に会場の熱気も一気に高まる。

そして、「難しいので分担してやります」とTENDREはベース、MELRAWはギターに持ち替えて、サンダー・キャットの名曲「Them Changes」を4人で披露。

高木のベースにTENDREの甘い歌声が重なり、マルチプレイヤーたちの最高にクールなセッションに観客の誰もが心酔していた。

最後にBREIMENの「棒人間」を「竿人間」と題し演奏した曲中では、高木とTENDREのFUNKYなベースセッションを存分に見せてくれたあと、最後は高木がドラムに飛び乗り、田中がウクレレベースを弾くという驚きのパフォーマンスで会場を沸かせた。大きな拍手が沸き起こる中、メンバーとの深い信頼関係を感じる、高木祥太のアイデンティティーが詰まった30分のステージを終えた。

 

3番目に登場したのは、TOKIE。

Jake Cloudchair/Guitarと城戸紘志/Drumsという磐石のロックスタイルで、ベテランの安定感を見せた。

シンプルな編成で、パワフルでソリッドなベースラインを引き立たせるJake Cloudchairと城戸紘志の強力なバックにも圧倒される。

「Forest Vamp」や「She Bites」といったunkieの名曲を含む、全曲に7拍子が入るという高難易度なセットリストであったが、それを感じさせない、誰もがノれるグルーヴで観客を惹きつける。

TOKIEは王道のベースラインから個性的なソロまで、ベースファンにはたまらない演奏を余すところなく魅せていく。

 

ラストはYouTubeで80万回再生されているという、ギターとベースでOne Controlのエフェクター10数種を試奏した動画を元に、この日のためにアレンジが加えられ、新たに生まれ変わった曲「Play with OC」を披露。客席の盛り上がりも最高潮に達した。

その後のトークコーナーでは、クリスペプラーがTOKIEの演奏には「TOKIEグルーヴ」があると話すと、会場からは大きな拍手が。力強く疾走感のある演奏で観客を終始魅了した。

 

大トリを飾ったのはTHE ORAL CIGARETTESのあきらかにあきら。

 

同期の仲間だというKEYTALKの小野武正/Guitarとフレデリックの高橋武/Drumsとともに、ほぼ即興の30分のステージを披露した。

 

冒頭、1人でスポットを浴びたあきらかにあきらは、「トリ嫌なんすよ…」と笑いを誘いつつ、しっとりとベースを聞かせた後、この日のために作ってきたというリフから展開される三人のセッションで会場のテンションを一気に盛り上げる。

観客を完全にあきらかにあきらの世界に引き込んだところで、コロナ禍で音楽制作の環境が変わった中、「生の楽器である『エレキベース』がなくなってしまうのではないかとまで考えた」という思いを語る場面も。あきらかにあきらがこの日持ってきた、自身のプロデュースしたオリジナルブランドであるベース「ACE BASS」には、もっとベースに触れてほしいという思いから、学生にも買える値段で品質の良いものを作りたかったという特別な意味が込められていた。

グッとくる話のあとは、お客さんの今食べたい料理を聞いてその語感からベースのフレーズを即興で作り、一つの曲にするというコーナーを提案。はじめにお客さんからでてきたのはまさかの「麻婆豆腐」。あきらかにあきらはとっさに麻婆豆腐の語感からベースラインを導きだし、小野と高橋はそれに即座に反応。即興とは思えないロックな曲に仕上げた。

他にも、「カルボナーラ」「りくろーおじさんのチーズケーキ」など全く予想だにしない料理名からベースラインを紡いでいき、3人それぞれの個性と確かな技が感じられる音楽で会場にグルーヴを生み出していった。終始お客さんとのキャッチボールで一緒に音楽を作り上げていく、温かく、そしてベースの楽しさを改めて感じさせてくれる、THE BASS DAY LIVEが終わってしまうことを名残惜しく感じさせる大トリのステージであった。

 

2日目の出演者も多彩なラインナップでベースの魅力を存分に聞かせてくれた。普段は異なるフィールドで活躍しているベーシストたちが、一挙に集まるこのTHE BASS DAY LIVEは、会場に集まった音楽を愛する全ての人にとって、ここでしか味わうことのできない貴重な時間となったことだろう。

来年には制定10周年を迎えるベースの日。毎年ベースの無限の可能性を感じさせてくれるこの場で、ベーシストたちはどんなパフォーマンスを見せてくれるのだろうか。来年のTHE BASS DAY LIVEから目が離せない。

 

Report  遠藤玄大     Photo  ヨシハラミズホ